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今月の農作業(8月)柑橘・キウイフルーツ

更新:2022年8月10日

柑橘

品質向上対策(1)

水分管理について

高品質なみかんを栽培していく上で、7月からの水分管理が重要なポイントとなります。図1を参考に時期別に合わせた水分管理を行い、高品質なみかん作りを目指しましょう。

[第Ⅰ期]7月中旬~8月中旬
新梢が緑化し、旧葉とともに光合成産物(糖分)を盛んに果実に送り込む時期です。この時期に十分糖度を高めておかないと収穫期に糖度が低くなりますので、適度な水分ストレスを与えましょう。
過度の乾燥は光合成能力を弱め表層の細根を枯らし、品質の悪化や樹勢低下を招くため、樹の状態を観察しながら、明け方に葉が巻いている状態であれば1回につき10ミリ/10アール程度のかん水を行いましょう。

[第Ⅱ期]8月下旬〜9月中旬
この時期は果実が急速に肥大し、クエン酸の分解が始まるので酸度が急減します。この時期に樹を乾燥させると果実肥大が鈍り、クエン酸の分解が進まないため、収穫期に小玉・酸高の原因となります。明け方に葉が巻いている状態であれば、1回につき20mm/10アール程度のかん水を行いましょう。

水分管理について

[第Ⅲ期]9月下旬以降
果実の成熟とともに糖度が高まり、果実肥大と減酸が緩やかに進みます。葉で光合成された糖分が果実に送り込まれる時期です。さらに水分ストレスをかけて、増糖効果を高めましょう。

水分管理について

品質向上対策(2)

摘果

表面の果実を垂れ下がらせ、着果ストレスをかけた状態から、仕上げ摘果を行ってください。
また、仕上げ摘果の時期を遅らせるほど品質向上の効果があります。粗摘果と仕上げ摘果の間隔をできるだけ長くあけられるように摘果計画を立てましょう。

摘果

品質向上対策(3)

マルチ被覆

水分管理を行う際にマルチの被覆は非常に有効な手段になります。近年、秋期の雨が多く、水分ストレスが解消され、収穫時に糖度が低くなる傾向です。
マルチは降雨後や、かん水後に被覆してください。かん水設備がない園地やマルチ被覆が容易ではない園地では、収穫の2か月前を目途に被覆を行いましょう。必要以上に乾燥させると、小玉果や酸高、樹勢低下の原因となります。

病害虫防除

黒点病

前回散布からの積算降水量が200〜250ミリを超えた場合や、20日を経過すると効果が低下しますので、これらを目安に再散布を行ってください。週間予報を活用し、計画的に防除を行いましょう。

チャノキイロアザミウマ

マキやサンゴ樹などの防風樹のある園や、夏秋梢の発生園で、高温乾燥状態が続いていると発生します。防除薬剤として、7月上中旬にはアグリメック2000倍、8月上旬にキラップフロアブル2000倍を散布してください。

ゴマダラカミキリ

羽化した成虫は、一週間程度枝を食害します。その後、樹の株元に産卵その後、樹の株元に産卵体内部を食害し、越冬します。防除薬剤として、7月上中旬にダントツ水溶剤4000倍もしくはアクセルフロアブル2000倍を散布してください。

また、モスピラン顆粒水溶剤400倍もしくはアクセルフロアブル200倍を株元散布し、産卵を防ぎましょう。

キウイフルーツ

今年は、春先の強風による枝折れや花腐れの発生が見られましたが、ほぼ順調に生育しています。再度、園地の見回りを行ってください。

土壌水分管理

キウイフルーツの根は、主幹から1mの範囲に7割あり、地上部から深さ40cmまで分布しています。梅雨明け後、乾燥が続けば定期的なかん水が必要になりますので、一週間に1、2回は実施してください。

新梢管理

棚下が暗いと、糖度不足やカイガラムシの繁殖、軟腐病の発生原因になりますので、不要な徒長枝や巻きツルを中心に除去し、棚下を適度な明るさに保ってください。

病害虫防除

果実軟腐病
8月上旬~/ベルクート水和剤:1000倍

果実軟腐病
キイロマイコガ/アディオン乳剤:2000倍