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今月の農作業(2月)柑橘・山椒

更新:2022年2月7日

柑橘

樹勢の回復

先月に引き続き、樹勢が弱っている園地では収穫後から2〜3回程度尿素(500倍)を散布してください。

密植園の管理作業

樹が成長し、樹間が狭くなっている園では、病害虫の多発、日照不足による果実品質の低下に加えて、作業 効率の低下などが問題として挙げられます。これらの問題の対策として、間伐や縮伐、整枝といった様々な方法がありますが、間伐を行う前に、 まずは、整枝・縮伐で空間を確保できるか確認しましょう。

整枝・剪定の目的

2月以降から本格的な整枝、剪定のシーズ ンとなってきます。整枝・剪定の主な目的として次のようなことがあげられます。

  • 樹勢の維持
  • 病害虫の発生予防
  • 作業性の向上
  • 骨格の維持

整枝作業について

柑橘の理想的な樹形は2〜3本の主枝が地面に対して垂直に立っており、亜主枝が水平になっている形です。 しかし、着果した果実の重量によって主枝は広がっていきます。

そのような状態になると主枝の内側に光が当たるようになり、徒長枝や内向枝が発生し、複雑な樹形の原因となります。 また、主枝の先端を決め、立たせることで横幅が減るため、密植園の改善につながります。 

理想の樹形
果実種で枝が垂れてることでh炉がっていく
内向枝の発生

縮伐作業

密植になっている園地では、基本的に主枝・亜主枝の同年枝が多くなっている場合がほとんどです。枝数が 増えることで、枝同士で養分の競合が起き、それぞれの枝が成長することにより、樹が大きくなる原因となります。それを避けるためにも同年枝の切除を行うこ とは重要となります。同年枝を切除する場合は、切り口は幹に沿って切ることが重要です。また、ポイントとしては切り口に直接日が当たらないように枝などで 陰にすることでカルス(傷口のかさぶたのようなもの)の形成が早くなります。

また、樹によっては大きく枝を切除することもあると思いますが、切除する目安として、葉数が全体の三分の一までに収めてください。 これを超えると、樹勢の低下に繋がりますので注意してください。一回の作業で樹形を整えることは非常に難しいため、 年数をかけて少しずつ樹形を改善してください。

山椒

剪定の目的

  1. 生産量の安定(樹勢の維持)
  2. 樹形作り(作業効率の向上)
  3. 病害虫予防(品質向上)

剪定の時期

休眠期に入り落葉してから行ってください。昨年は秋芽が多く発生しました。1月には、ほとんど落葉していると思いますが、落葉する前に剪定してしまうと、新たな秋芽が出る原因となるので注意してください。

小木から仕立てる

ほとんどの園地・樹で主枝は3本以上あり、樹形が複雑になっています。

主枝の数が多い時の問題点とは?

狭いスペースの中で枝が多くなり作業効率が非常に悪くなります。また、枝が混み合うと病害虫の発生も多くなるため、主枝の数は出来るだけ減らさなければなりません。

小木の段階から主枝の数を制限し、育てていくことが重要です。理想としては主枝の数は3〜4本、(図1、2)主枝の伸ばす角度は40〜45度が良いでしょう。(図3)

成木剪定の注意点

まず自分の理想とする樹形をイメージしながら剪定を行ってください。(3〜5年先の樹形をどうするか考える)

図3のように、すり鉢状の樹形となるよう、基本的には勢いの強い内向枝や徒長枝は切除します。ただし、幹や主枝の表面に光が当たり過ぎると、日焼けにより剥皮が発生する恐れがあるためある為、 ふところの細かい枝は切り過ぎに注意してください。

重なり枝については作業効率が悪くなるので除去してください。 また、切り返し剪定をした翌年は、その枝から出た枝を必ず間引いてください。

主枝の先端、もしくは徒長枝を活かす場合、複数の芽がある枝でも、全ての芽が発芽することはありません。長い枝の場合、 先端の芽だけ発芽し、間延びした枝になるため、8〜10個芽を残す程度で構いません。その時の注意点としては、外芽で切除してください。(図4)(伸ばしたい方向があるのであればその限りではありません)

栽培面積が広い場合、1本ずつ時間をかけて剪定していると、春までに間に合わないこともあります。その為、まずは樹形を乱す徒長枝を優先的に剪定し、その後細かい剪定を行ってください。

成木剪定の注意点
成木剪定の注意点:枝を切るポイント

切り口について

切り口はできるだけ小さい方が、樹への負担が少なく済みます。切り口が大きくなる場合は残す枝に沿って 切り、面を取ってあげることで癒合が早くなります。また、その傷口の周りに徒長枝が出てきた場合、1本を残すと、さらに癒合が早くなります。発生した枝は 傷の大きさによりますが、2年目に剪定してください。切り口にはトップジンMペーストを塗布し、樹勢が弱い場合は春肥を多めに施用することで癒合力が増し ます。