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今月の農作業(11月)柑橘・山椒

更新:2021年11月16日

柑橘

樹上選別

いよいよ早生の収穫が始まります。本年は梅雨入りが早く、8月中旬より降雨が続き、糖度の上昇が鈍い園 地が多い傾向です。しかし、マルチ被覆や後期に重点を置いた摘果等の対策を行っている園地では、比較的高い結果となっています。今後は、品質の良い果実を 収穫するために、しっかり樹上選別を行いましょう。

秋芽発生を抑制するために残していた、天成り果や軸太果の摘果時期となります。
 方法として、果実のみ摘果するのではなく、基部から切除を行うことが重要になります(図1)。天成り果等が着果していた立ち枝を放置してしまうと、翌年 の春に勢いの強い枝が発生し、それが樹形を乱す原因となってしまいます。また、その枝には翌々年に同じような低品質の果実が着果するという悪循環に陥りま す。

近年、日焼け果が多い傾向にあります。8月の高温・乾燥が続いたことが大きな理由として挙げられます。日焼け果の発生は、天候に大きく左右される面があ る一方、栽培管理の徹底で少なくすることができます。例えば表面の果実を早くから摘果してしまうと、果梗枝が垂れ下がらずに、日焼け果になることや、そも そも立ち枝に着果しているために日焼け果が発生することが挙げられます。温暖化の影響による秋期の高温多雨だけではなく、本年のような8月の降雨などによ り栽培が難しくなっています。従来の栽培管理では環境の変化に対応することが難しく、柔軟に対応するためには摘果や剪定を見直す必要があります。

樹上選別

分割採果

収穫の際、果実品質のバラツキを抑えるためにも分割採果を心掛けるようにしましょう。分割採果とは2回 以上に分けて収穫を行うことです。同じ樹に着果している果実でも表面の果実は早く熟期を迎え、フトコロの果実は遅くなります。そのため、着色具合を確認し てから収穫することが大切になります。

秋肥の施用

秋肥は樹勢の回復と耐寒性の向上、花芽の促進や新梢の充実などに影響し、連年安定生産のために非常に重要な影響を及ぼします。

C/N比について

今年は裏年傾向にあるため、新梢の発芽が多く、光合成が盛んに行われる一方で果実が少ないため、C(炭 水化物)が樹体内に多く残った状態になります。C(炭水化物)の割合が多いと、着花過多になる傾向が強くなります。そこで、施肥を行いN(窒素)成分を樹 体に吸収させC/N比を適正にすることが連年結果樹にするポイントの一つとなります。柑橘の根が養分を吸収する能力は地温が12度程度以上となり、冬にか けて地温が下がっていきますので、施用時期は収穫後から11月中旬頃までとなります。養分を吸収するためには、水分が必要となるため降雨前に施肥を行いま しょう。

フィガロン散布やマルチ被覆を行い、樹勢が低下している樹では収穫後、窒素主体の液肥(尿素の場合500倍)を暖かい日に7~10日間隔で3回程度散布を行ってください。

山椒

ブドウサンショウの苗木定植

1.植え位置の決め方

まず、植え位置を決めるときは、樹と樹の間を最低4.0mあけましょう。(樹が大きくなった時に作業効率が良いため)

平地の場合には苗木を植える周りを高畝で準備し、多湿にならないように気をつけてください。定植の仕方は平行でも千鳥でも構いません。

植え位置
植え位置

2.苗の準備

基本的に山椒苗は接ぎ木がされています。

また定植時に今後の樹形を想定し、芽の位置を確認しながら第1回目の剪定を行います。(剪定位置は地際部分から30~40㎝くらいの高さ)

3.定植時の注意点

  1. 芽の方向を揃えます。(大きくなった時に枝同士が当たらないように)ウッドエースを施用する場合は植穴に3~5個入れ、直接根に当たらないように軽く土を被せて定植してください。接ぎ木部分は土で埋めてしまわないよう注意しましょう。
  2. 定植後は支柱を立てて縛ります。(苗木を風から守るため)
定植時の注意点

4.樹形の仕立て方

収穫しやすくするためにできるだけ低い樹形を作るということを心掛けてください。3年目までは支柱を1~3本程度を使って、主幹(中心となる幹の部分)を動かないように守りましょう。特に台風などの強風には注意してください。

枝が立ってくる場合は、ある程度枝を寝かせるように誘引しましょう。

樹形の仕立て方