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今月の農作業(10月)柑橘

更新:2021年10月18日

柑橘

本年は、着果量が少ないことに加え、梅雨入りが例年に比べ早くなりました。さらに8月の雨量が極端に多くなり、糖度・酸度ともに低く推移しました。しかし、早生以降の品種については、対策を行うことで品質の向上を見込めます。

早生以降の品種では10月以降、樹に余計な水分を与えないことが重要になります。近年は、秋以降の降雨も多くなっており、マルチ被覆を行うことで品質を向上させることができます。まだ被覆を行っていない園地では、ぜひ検討してください。

9月中旬以降は、早生以降の品種の仕上げ摘果の適期となります。枝が果実の重みで垂れ下がり、果実に優劣のついた状態で摘果を行うことで品質が揃い、糖度の高いミカンを残すことができます。

近年、温暖化の影響もあり、ハナアザミウマ(被害)の影響が見られる園地が多くなってきました。ハナアザミウマは、着色期以降果実同士がくっついている 箇所に発生し、白いリング状のキズをつけます。摘果により独立した状態にすることで、被害を軽減することができます。

日焼け果や、上向き果等は秋芽発生のリスクがあるため、10月中旬にハサミで果梗枝の基部から切除してください。

有田管内は、早生以降の品種の生産量が多い産地です。9月以降、仕上げ摘果を徹底し、高品質ミカンを生産しましょう。

ハナアザミウマとその被害

枝つり作業

枝つりは、地面に果実がつくことを防ぐだけではなく、枝を吊り上げることで果実品質を上げることが目的です。特にこの時期になると、果実の重みにより枝と枝の間隔が狭くなります。隠れている果実を表面に出し、品質の向上を行うためにも積極的に枝つりを行ってください。

収穫作業

近年GAPへの意識も高まりつつあり、生産履歴の記入だけでなく、選果場の衛生管理など、収穫後の作業もこれまで以上に重要視されるようになっています。収穫を開始する前に一度、選果機等のチェックも行いましょう。

9月下旬頃になると、収穫作業が始まり、出荷も始まります。腐敗果の混入は、消費者からの信頼、産地の信用を損ねることになります。

腐敗果のほとんどは、白かび・青かび病、緑かび病によるものです。これらの病原菌は、果実の傷口から侵入して発病するため、果実を傷つけないよう丁寧に 扱うことが重要になります。特にホゾが高いと収穫後に、周りの果実を傷つけてしまう原因になるため 「二度切り」 を徹底しましょう。

果実が、濡れた状態での収穫も腐敗の原因となります。果皮が濡れた状態での収穫は行わず、乾燥した状態で収穫してください。また、防腐剤の散布も徹底してください。

病害虫防除

防除を行う前にまず、使用基準の確認を行ってください。収穫前日に散布できるものも、厳密にいうと24 時間の間隔をあける必要があります。また、ミカンと中晩柑類で登録内容が異なるものがあるので注意してください。合計使用回数が決まっているものもありま す。(例:ジマンダイセン水和剤とペンコゼブ水和剤の合計使用回数は4回)登録外の使用を行った場合、出荷停止せざるを得なくなります。収穫が近づくと農 薬の選択肢も少なくなり、防除が困難になります。散布する剤の相談等、何か疑問に思うことがあればお近くのAQ選果場または営農センターまでお問い合わせ ください。

カメムシ

カメムシは、果実を吸汁し品質を低下させます。台風通過後には、スギ・ヒノキ等の樹木から飛来することが多くなるため注意が必要になります。自園地を確認し、発生が見られるようならば防除を行ってください。

カメムシ

ミカンハダニ

着色期の加害は、果実の着色不良に繋がります。発生密度が高くなる前に防除を行ってください。また、抵抗性をつけさせないためにも、昨年の防除とは別系統の剤を散布してください。

ミカンハダニ

ハナアザミウマ

近年、発生が多くなっています。着色が進むと園外から飛来し、果実と果実が接した場所に寄生します。白 いリング状のかすれ傷を発生させ、腐敗果の発生に繋がります。着色前には発生が見られず防除が困難になります。前述の摘果での独立果による対策や、園地を 確認し発生が見られるようであれば、速やかに防除を行ってください。

ハナアザミウマ

貯蔵病害

貯蔵中の腐敗果を軽減させるために、収穫前には腐敗防止剤(ベフラン液剤25やペンレート水和剤もしくはトップジンM水和剤)の散布を徹底しましょう。

褐色腐敗病

褐色腐敗病は、果実成熟期の集中した雨や台風によるスレ傷、泥はねにより発病します。発生が予想される場合は、ランマンフロアブルもしくはレーバスフロアブルを散布してください。

褐色腐敗病

※薬剤・倍数は「2021年柑橘類防除基準」を参考にしてください。