アグリnavi

今月の農作業(7月)柑橘・山椒・水稲

更新:2021年7月1日

柑橘

令和3年産は裏年傾向ということもあり、着果が少ない樹も多く見られます。慣行通りに摘果を行うのではなく、着果程度による対策を実施してください。

夏剪定

着果が少なく発芽が旺盛な樹を放置してしまうと、生理落果の助長、また翌年には着花過多となり、樹勢低 下や再来年の収量にも影響が出ます。そこで、夏剪定を行い、結果母枝を減らし来年の着果バランスを整えてください。被さり枝や立ち枝といった、品質の向上 が望めない果実が成る部分を中心に、間引き剪定を行ってください。

夏剪定

摘果

摘果の効果

(1)果実の肥大

まず挙げられるのが果実を大きくすることです。着果数を減らすことで果実の肥大を促進させます。

(2)秀品率の向上

キズ果や病害果の果を摘果することで、秀品率を向上させることができます。

(3)品質向上

摘果を遅らせて着果ストレスをかけることで、品質の向上につながります。そのなかでも、良い果実を残すことで品質の向上や均一化が見込めます。

粗摘果

摘果には時期別に大きく分けて、粗摘果・仕上げ摘果・樹上選別があります。それぞれの役割が異なり、合わせ技で高品質な果実を作ることができます。

【ポイント】

  • スソやフトコロ周りの日の当たりにくい果実を中心に果実を摘果してください。スソ・フトコロ周りの果実は品質の上がりにくい果実になります。
  • 表面の果実は粗摘果では行わないようにしてください。夏芽の発生や重りが少なく、着果負担がかからないため品質が上昇しない原因となります。

適正着果量と摘果

適正着果量にすることは、果実の品質向上や連年結果させる上で大切になります。しかし、むやみに摘果することが正解とは言えません。

適正着果量と摘果
摘果

粗摘果において、早期から表面の果実まで摘果してしまうと、果実肥大が進み大玉果になることで、結果的に着果過多となる恐れがあります。このことから、収穫時点で適正着果量になるように時期を考慮して、摘果を行うことが品質向上と連年結果を両立させることにつながります。

病害虫防除

黒点病

先月に引き続き、黒点病対策を行ってください。例年に比べ梅雨入りがかなり早くなっています。展着剤(アビオンE等)の加用等の工夫を行いましょう。黒点病対策は、予防が基本となります。

ゴマダラカミキリ

近年カミキリムシの被害が、増加傾向にあります。令和2年度の防除暦から、カミキリムシ対策の有効な薬剤で構成されています。

農薬を散布する際は、幹や株元まで丁寧に散布してください。農薬の特徴や倍数等は営農指導員にお尋ねください。

山椒

実山椒収穫の農薬散布

実山椒の収穫後、さび病やハダニ・アザミウマの防除を行いましょう。さび病やハダニは発生すると早期落 葉の原因となります。落葉してしまうと樹勢の低下や、秋芽の発生を助長してしまうため注意してください。またアザミウマについても乾燥用として残っている 実が食害され褐色になり品質低下を招くためしっかりと防除を行ってください。

実山椒完全収穫後1回目(5月)

コテツフロアブル 4000倍[7日/2回]
ストロビードライフロアブル 2000倍[14日/2回]
ダニエモンフロアブル 4000倍[21日/1回]
アビオンE 1000倍

実山椒完全収穫後2回目(6月)

モスピラン顆粒水溶剤 4000倍[7日/1回]
ストロビードライフロアブル 2000倍[14日/2回]
アタックオイル 150倍[5~10月/-]
※乾燥山椒を収穫する場合で、農薬散布を行う場合は収穫前日数を十分確認して散布してください。
農薬散布に関しては使用方法を遵守し、飛散や流出には十分注意して使用してください。

水稲

移植後の管理について

中干し

(1)無効分けつを抑え、適正な穂数にする。
(2)倒伏を軽減する。
(3)土壌に酸素を供給し、根を健全に保つために行います。

時期:7月中旬頃(穂数が20~25本を目安)に地面に亀裂が生じる程度行ってください。

水管理

出穂期の水管理は、重要です。7月以降は定期的に新しい水を入れ、根に酸素を供給できるよう心掛けてください。また、高温障害対策(心白米などの未熟 粒)で水温が上がりすぎないようにするために、幼穂形成期から登熟期までは間断かんがいを実施してください。
詳しくは、水管理表を参照してください。

防除

《6月下旬~4月上旬(箱処理剤を使用していない場合)》

ウンカ類,ツマグロヨコバイ
トレボンEW 1000倍〔使用基準14日/3回〕
または、
パダンバッサ粒 3~4kg/10a〔使用基準30日/5回〕

いもち病
ブラシンフロアブル 1000倍〔使用基準7日/2回〕

《7月中下旬》

コブノメイガ・ウンカ類・ツマグロヨコバイ
トレボンEW 1000倍〔使用基準14日/3回〕

いもち病
ダブルカットフロアブル 1000倍〔使用基準穂揃期まで/2回〕

紋枯病の発生園
バシタックゾル 1000倍〔使用基準14日/3回〕

【粒剤体系の場合】
イモチエーススタークル粒剤  3kg/10a〔使用基準35日前/1回〕
※山間部の防除は防除暦をご覧ください。

《8月上中旬(穂がうつむき始めた頃)》

カメムシ類(ウンカ類・ツマグロヨコバイ)
スタークル顆粒水溶剤 2000倍(3000倍)〔使用基準7日/3回〕

紋枯病の発生園
バリダシン液剤 1000倍〔使用基準収穫14日/5回〕
(粒剤体系の場合)
スタークル粒剤     3kg/10a〔7日/3回〕