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今月の農作業(6月)柑橘・キウイフルーツ

更新:2021年6月1日

柑橘

灌水

5月から6月は果実の細胞分裂や生理落果等があり、高品質果実生産のための重要な時期になります。本年 は裏年傾向という事もあり、少ない果実を大切にする事を心がけましょう。近年は、梅雨期に入ってからも十分な降雨がないことが多い傾向です。乾燥状態が続 くと、生理落果が助長されるため、適宜灌水を実施してください。

生理落果

柑橘では、大きく分けて一次落果と二次落果の生理落果が起きます。一次落果では(図1)のように軸の部分から落果し、二次落果では果実のみ落果し果梗部は(図2)のようになります。

生理落果
図1
生理落果
図2

生理落果は、新梢と果実の養分の競合により発生します。そこに合わせて、高温や乾燥、日照不足などの条件が重なりより助長されます。

裏年の樹では、多くの新梢や根が発生しており、その中で果実との養分の競合が行われています。その結果、着果の維持ができなくなったものは、落果してしまいます。大切な果実を守るためにも、先述の灌水等を含めた生理落果を防止する作業が必要となります。

対策として、被さり枝の除去を行うと新梢との競合を抑えるとともに、日光が当たりやすくなり生理落果を防ぐことができます。

生理落果

生育状況について

近年は冬場の気温が高く推移することが多くなりました。令和2年12月から令和3年1月にかけて平年に 比べ気温も低く推移しましたが、4月に入り定期的な降雨と気温の上昇により、生育は前進傾向で進みました。ただし、生育速度は園地によって異なるため、防 除などの諸管理のタイミング等は考慮してください。

病害虫防除

チャノキイロアザミウマ

幼果期から収穫期まで長期に渡り果実を加害します。加害されると果梗部付近にリング状の外傷が形成されます。サンゴジュやマキなどの防風樹が近くにあると被害が発生しやすいので要注意です。防除暦を参考に5月以降から防除を徹底しましょう。

チャノキイロアザミウマ

黒点病

長期間にわたり感染する可能性があり、幼果期から収穫期までの防除が年間合計の使用回数が決まっているため、その中で、最大の効果を得るためにできること を行なう必要があります。例えば、アビオンE等の展着剤を使用する等の工夫が挙げられます。梅雨期の降雨日が多い時期は、黒点病防除の中でとても重要にな ります予防的な防除となりますので、残効を切らすことが無いよう、防除を行いましょう。

黒点病

カイガラムシ類

多発園の特徴として、クーラー防除の園地や密植園が挙げられます。カイガラムシ類は、世代を追うごとに発生にバラツキが見られ防除が難しくなってきます。発生が見られる園地では薬剤の散布を行ってください。また、葉裏・枝梢のすみず尋ねください。

ヤノネカイガイガラムシ

発生が見られる園地では、5月下旬にトランスフォームフロアブル2,000倍散布してください。

サンホーゼカイガラムシ

近年増加傾向にあります。発生が見られる園地では5月下旬にアプロード水和剤1,000倍を散布してください。

梅雨肥

6月に入り多雨と気温の上昇に伴い、肥料成分が吸収しやすい時期になります。苗木では、樹幹拡大や新梢の充実などに効果があり、中晩柑類では、果実の初期肥大を促進させることができますので施用しましょう。

キウイフルーツ

果実肥大促進

ホルモン剤
フルメット液剤10ml

処理時期
満開後20〜30日

使用濃度
500倍〜800倍加用、展着剤5,000倍

処理方法
浸漬処理、または、肩掛け散布

注意点
処理時期が早い場合肥果大は促進されるが、奇形果が多くなります。処理時期が遅くなると奇形果は少ないが、肥大が促進されません。

摘果

初期肥大が大きく、開花後40日までに収穫時点の70~80%肥大します。一回目、奇形果・小玉果を中心に摘果します。着果具合によって調整してください。二回目、小玉、傷果等見残し果を摘果してください。着果量25〜30果/平方メートルが最終の目安です。

病害虫防除

果実軟腐病
6月上旬 アリエッティ水和剤 600倍
7月上旬 トップジンM水和剤 1,000倍

キイロマイコガ
6月上旬 フェニックスFL 4,000倍

クワシロカイガラムシ
7月上旬 スプラサイド水和剤 1,500倍