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今月の農作業(10月)柑橘

更新:2022年10月1日

柑橘

仕上げ摘果

果実の肥大が鈍り、品質が向上しやすい時期です。

今年は表年傾向の園地が多いものの、昨年度の収穫時期以降、乾燥状態が続いたこともあり、花芽と葉芽のバランスが良い樹が比較的多くなっていました。このことから初期肥大は比較的」良好であったものの、空梅雨で降雨が少なかったため、肥大にブレーキがかかり、平年並み~やや小玉傾向になっている園地が多くあります。

粗摘果の時期に肥大良好で摘果を遅らせていた園地も果皮のキメも滑らかになり、仕上げ摘果の適期になります。

また、9月の後半は普通温州の仕上げ摘果の適期となっています。普通温州は樹勢が良く、摘果を行わなくてもS以上の階級に仕上がることが多いことから、「これ以上摘果するのはもったいない」という心理から摘果不足になり、着果過多になりやすい傾向です。極早生品種の収穫時期と同時期になるため、忙しい時期になりますが10月以降もしっかり摘果することが重要です。

優先して摘果する果実は小玉果と上を向いた品質が悪い果実です。基本的には枝の先端の果実は基部にある果実より品質が上がりやすい傾向ですが、下垂した枝の先端には小玉果が多く見られますので、先端に近い肥大の良い果実を残すようにしてください。また、摘果により果実1つ1つが独立した状態にすることで着果が向上するとともに、近年発生の多いハナアザミウマの被害を軽減することができます。ハナアザミウマは果実同士が接触した部分に寄生し、白いリング状のかすれキズを発生させます。摘果でスペースを作ることで未然に被害を防ぐことができます。

秋芽が発生すると、その周辺の果実の糖度低下、着色遅延、減酸促進など品質を低下させる影響があります。日焼け果などの大玉果は10月中旬以降の樹上選別で鋏を使い、果梗枝のもとから切除してください。

樹上選別

再度園地を見回り、仕上げ摘果で見落とした品質の悪い果実(スレ傷果・奇形果・小玉果などの商品価値がない果実)を摘果しましょう。収穫時点での適正着果量の目安は、20~25枚に1果です。

夏秋梢の発生を防ぐために残しておいた、天成果・日焼け果などの大玉果は、10月中旬頃から樹上選別で除去しましょう。

枝吊り作業

枝吊りは、単に果実が地面に接触するのを防ぐだけではなく、枝を吊り上げることで果実の品質を上げることが目的です。

また、枝と枝との間隔を空けることで、被さり枝が無くなり、今まで枝葉に隠れていた果実の品質向上につながりますので、積極的に行いましょう。

病害虫防除

ミカンハダニ

ミカンハダニによる着色期の加害は、果実の着色不良につながります。発生密度が高くなると防除が困難になるので、発生初期に散布ムラの内容に丁寧に散布しましょう。

ミカンハダニ(アグリnavi 2022年10月)

カメムシ類

カメムシによる被害は、幼果の時期に吸汁されると落果し、着色期以降は吸汁された部分の果肉が固着し、品質が低下します。
園地を観察し、カメムシが確認された場合は防除を行ってください。特に着色の良い品種・樹を集中的に加害する傾向にありますので、まずは極早生園での発生に注意し、防除を行ってください。

カメムシ類(アグリnavi 2022年10月)

ハナアザミウマ

近年、発生が多く確認され、着色期に被害が発生します。果実同士が接触した部分に寄生し、白いリング状のかすれキズを発生させます。ひどい場合は茶色になり、最終的には腐敗します。着色期以前には発生が見られず、園地によって防除のタイミングが異なるため、防除が困難です。摘果での独立果による対策を行うとともに、着色が始まると定期的に園地を観察し、発生の確認次第速やかに防除を行ってください。

ハナアザミウマ(アグリnavi 2022年10月)

貯蔵病害

貯蔵中や出荷後の腐敗果を軽減させるため、収穫前には腐敗防止剤の散布を徹底してください。湿度が高い時期は水腐りが多いのでべフラン液剤25を使用してください。

褐色腐敗病

褐色腐敗病は、果実成熟期に集中した雨や台風によるスレ傷、泥はねにより発病します。
発生が予測される場合は、早急に防除を行ってください。

褐色腐敗病(アグリnavi 2022年10月)
病害虫防除(アグリnavi 2022年10月)

収穫作業

腐敗果の混入および、出荷先での腐敗は消費者の信頼を失うことにつながります。
果実腐敗のほとんどは、白カビ、青カビ、緑カビ病によるものです。これらの病原菌は果実の傷口から侵入して発病するため、果実を傷つけないように丁寧に扱うことが重要です。そのため、採果は2度切りを実施しましょう。
また、果実が濡れた状態での収穫も腐敗の原因になります。雨採りはしないで、果実が乾燥した状態で行いましょう。また、防腐剤散布の徹底を心掛けましょう。

秋肥の施用

秋肥は樹勢の回復と耐寒性の向上、花芽分化や新梢の伸長充実などに影響し、連年安定生産するために非常に重要な肥料となります。連年安定生産のためにも、樹勢の低下した園地では、収穫後速やかに栄養状態を回復させる必要がありますので、秋肥は適期に適量を確実に施用することが大切です。
また、施用の際は葉色や葉数などを確認しながら樹勢に応じて施用量を加減することが大切です。

秋肥の施用(アグリnavi 2022年10月)