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今月の農作業(12月)柑橘・落葉果樹

更新:2022年12月1日

柑橘

収穫

収穫にあたっては定期的に果実分析を行い、着色・糖度をチェックしながら、品質基準に達した果実を収穫するように心がけましょう。
12月に入ると、外成りの果実は降雨や降霜の影響を受け、浮皮や傷みが発生しやすくなります。熟度と品質を考慮し、成熟が早い外成り果から順に採るなど、2~3回に分けて分割採果を行い、果実品質の均一化を図りましょう。
また、貯蔵中の腐敗果発生を防ぐため、採果の際は、ハサミ傷やホゾ高に十分注意しましょう。

収穫(アグリnavi 2022年12月)

家庭選別の徹底

腐敗果が混入すると、他の果実に腐敗が伝染するだけでなく、市場や消費者からの信用を失い、有田みかんのブランドイメージの悪化につながります。
選果台を出来るだけ明るくし、特に果実の傷み・腐敗果に注意し、家庭選別を行いましょう。
また、選果時の衝撃をできるだけ少なくし、果実を丁寧に取り扱いましょう。

みかんの与措・貯蔵

今年は、台風や秋雨の影響で果実内の水分量が多くなっていると思われます。腐敗果が発生しやすい状態です。
与措を実施することにより、果皮を乾燥させると果肉から果皮への水分移行が減少し、浮皮や腐敗を抑える効果があります。

与措の方法は、軒先や倉庫などの風通しのいい日陰で7~10日程度置くことです。果実量が収穫時より2~4%減少した時点が目安です。

予措を行う際の注意点として、収穫直後の果実は呼吸量が多いため、コンテナに多く詰めると十分に予措ができない恐れがあるため、コンテナ7~8分目程度までに抑え、コンテナ同士の間隔も20㎝程度間隔を空けるようにしましょう。また、コンテナ複数個を団積みする場合、一番下のコンテナは十分に予措されない恐れがあるので注意しましょう。

予措終了後は腐敗果があれば取り除き、コンテナの間隔をなくして貯蔵を行いますが、予措戻りが心配されるので風通しが良く、昼夜の温度差が少ない場所で貯蔵することが望ましいでしょう。

収穫後の樹勢回復対策

高品質生産のために行うマルチ資材の被覆やフィガロン乳剤散布の影響により、樹勢が低下することが懸念されますので、収穫後速やかに速効性肥料を窒素成分で10aあたり10㎏程度施用しましょう。また、気温の高い日を選び、尿素の500倍を7~10日間隔で3回程度葉面散布を行いましょう。

寒害対策

果実は氷点下で一定時間経過するとス上がりなどが発生します。品種や園地条件によって寒害の発生する度合いは違いますが、寒害の恐れがある園地では袋掛けなどの防寒対策を行いましょう。
なお、寒害を受けやすい園地や冬季に強風を受けやすい園地では、旧葉の落葉や春先に枝枯れが発生する恐れがあります。樹全体を不織布や防風網などで被覆するなどの対策を行いましょう。

寒害(アグリnavi 2022年12月)

越冬害虫の防除

温州ミカンの越冬害虫はおもに、カイガラムシ類とミカンハダニになります。近年、秋季の温暖な気候によって、収穫時期のカイガラムシ類の発生が増加しています。収穫の際、発生や被害果が見られた場合、12月下旬から1月中旬までの暖かい日に冬用マシン油乳剤(95%)を45倍、もしくは、夏用マシン油乳剤(97%)を60倍で散布しましょう。カイガラムシ類やミカンハダニは葉裏や枝・幹を中心に生息しているので、樹幹内部まで丁寧に散布しましょう。

また、カイガラムシ類多発園では、果実生育期の薬剤防除が重要になるため合わせての防除を徹底してください。散布は収穫後に行い、幼木や樹勢の低下した樹では散布を控えましょう。

カイガラムシ(アグリnavi 2022年12月)
ミカンハダニ(アグリnavi 2022年12月)

落葉果樹

落葉果樹の植付について

植付時期11月中旬~12月が適期です。

植穴はできるだけ早く準備し、遅くても定植1ヶ月前までには完了しておきましょう。排水不良園では、暗きょ排水対策を優先し、土壌改良資材をよく混和してください。

植付時は、土壌に湿り気があり、風のない曇天の日が理想、根を乾かさないことが大切です。土壌が乾き気味の場合は、しばらく苗木を清水に浸してから植えるようにしてください。巻き根や太根の折損部は剪定鋏で切り返しましょう。

埋め戻し後、盛り土は自然鎮圧するので、それによる土の締まりを見越して、あらかじめ30~40㎝程度高盛りして植えてください。盛り土は接ぎ木基部が見える程度とし、苗木主幹部周囲には敷草や敷わら、完熟バーク堆肥などを敷き、乾燥防止に努めてください。また、季節風で株元を揺さぶらないように支柱を立てておきましょう。