組合長コラム

人流復活~世界農業遺産地域への旅~

更新:2023年5月10日

 新型コロナ感染症が収束とはいかないまでも落ち着いてきて、人々の行動制限が緩和され、経済活動も活気を取り戻してきました。

 久々のまとまった休日となるゴールデンウィークを利用して九州地方へ孫2人(8歳と3歳の男子)を連れて妻と車で旅をしました。大阪南港からフェリーで別府まで行きたかったのですが、ネット予約が一瞬で満車になり、予定変更で四国を中継しながらフェリーを2回乗り継いで九州へ辿り着きました。ホテルの予約もなかなか取りづらく、ゴールデンウィーク中の混雑が1ヶ月前から想像され、少し不安を抱えての出発でした。

 道中、立ち寄るサービスエリアや道の駅では、その地域ならではの産物等が販売されており、また販売形態も工夫されているなど、ファーマーズマーケット運営の参考になりました。

 宮崎県高千穂町(高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム)では、森林に囲まれた平地の少ない環境下で林業、和牛生産、茶の栽培そしてきれいに管理された棚田を見ることができました。これだけの景観を維持するのには、並々ならぬ労力がかかっていることが想像されました。高校時代に地学部の視察研修旅行以来、約半世紀ぶりの訪問で感慨深いものがあり、手こぎボートから見上げる玄武岩の柱状節理には圧倒されると同時に感動が蘇りました。当時歩いた国鉄の鉄橋は、観光トロッコ列車の終点で絶景スポットになっており、歳月の流れを実感しました。

 その後訪れた阿蘇地域(阿蘇の草原の維持と持続的農業)では、日本最大級の草原と、その中で行われている牧畜と火山性黒ボク土壌での多様な野菜栽培状況を見ることが出来ました。雄大な自然景観の中で環境に適合した農業が営まれており、人々の英知が推察されました。

 両地域ともやはり世界農業遺産に認定されるに値する地域であることがよく分かったと同時に、これからFAO(国連食糧農業機関)に認定申請が農水省より承認された「有田・下津地域の石積み階段園システム」も両地域同様、すばらしい地域であり、誇りを持って後世に引き継いでいけるように「JAありだ」としてもできるだけのことをしなければと再認識した旅となりました。観光地や道の駅では九州以外のナンバーの車も多く見られ、活気が感じられやっとアフターコロナになってきたかなとうれしい気分になりました。

 帰りの四国愛媛では、みかんの花が満開になっており、自宅にたどり着くとみかんの花の甘い香りが出迎えてくれました。 

5月9日

人流復活~世界農業遺産地域への旅~