有田みかん

産地紹介

歴史

  • 1429年(永享年間)

    糸我荘中番付(今の有田市糸我町中番)に自生のみかん樹発見。

  • 1574年(天正2年)

    同住民、伊藤孫右衛門氏が肥後八代より丸蜜柑の苗木を導入。後に移植・接木等で歳月を経て、栽培方法も改良された。

  • 1634年(寛永11年)

    滝川原村の藤兵衛、江戸へみかんの初出荷。

  • 1685年(貞享2年)

    紀伊国屋文左衛門、嵐をついて江戸にみかんを運ぶ。

  • 1948年(昭和23年)

    農業協同組合設立。後、各地で共同選果場設立。

  • 1972年(昭和47年)

    全国みかん生産量350万tを超え、価格暴落。

  • 1979年(昭和54年)

    温州みかん転換促進事業(みかん減反政策)始まる。

  • 1999年(平成11年)

    有田管内6JAが合併し「JAありだ」に。みかん生産量日本一のJA誕生。

  • 2004年(平成16年)

    管内中心部にJA直営選果場「AQ中央選果場」誕生。以後「AQ総合選果場」「AQマル南選果場」と直営選果場設立。

  • 2006年(平成18年)

    地域団体商標の第一弾として「有田みかん」が認定される。

  • 2021年2月(令和3年)

    「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」として日本農業遺産認定

    みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム

種類・品番

みかんの最初の収穫は極早生(ゆら早生、日南早生など)からです。9月になると徐々に色付き始め、緑色が薄くなってきます。 緑が完全に抜けきらないうちに収穫・出荷しお店に出ます。一見ちょっと酸っぱそうだけど、中身はしっかりみかんです。

有田みかんの勝負どころは11月からの早生みかんです。品種は宮川早生や興津早生、田口早生などです。早生みかんは皮が薄くって、甘みも増しておいしいです。12月になると普通みかん(中生・晩生)が出荷されます。

中生みかんは向山、晩生は林・丹生・青島などの品種が主に栽培されています。このころが有田では一年で一番忙しい時期です。

みかんの出荷は1月中旬頃まで続きます。

栽培面積・生産量

平成29年で、みかんの栽培面積は全国で約6万ha、生産量74万t前後。和歌山県では8千haの栽培で、44万tの生産量。 そのうち有田地区で3400haの面積で、年間約7万4千tが生産されています。種類別には、極早生1万1千t、早生3万1千t、普通2万9千t、その他3.5千tです。

栽培方法

みかんは春になると芽が出て、5月に花が咲きます。栽培農家はその前に肥料を与え、剪定を行い、芽と花のバランスを調整します。
花が咲き、その後に小さな果実が着き、夏の間肥大を続けます。通常、自然に着果させておくと果実数が多過ぎて小さいみかんばかりになってしまうので、間引きをします。
また、傷の着いた果実や大き過ぎる果実も間引きします。この作業を摘果作業といって、農家は暑い夏の間中汗を流します。
秋になるとおいしくて、きれいで、大きさ・形の良いみかんが揃い、収穫します。
その他にも、病害虫を防除したり、味が良くなる工夫をしたりします。

特徴

有田川が流れる左右の山や、海岸沿いの山々にみかん畑が広がります。一度来ていただければわかりますが、山という山はすべてみかん畑です。山だけではなく、平地にも家と家の間にみかん畑があります。

昔は水田だった所にも、土を入れてみかん畑を作りました。傾斜地みかん園のほとんどが、石垣階段型の畑です。

石垣は保温効果、排水効果、光の反射効果があり、おいしいみかん作りの秘訣です。平坦地のみかん畑でも、おいしいみかんが出来るようにマルチ栽培やハウス栽培が増えてきています。

有田みかんの特徴

気象条件

年平均気温16.5℃、年間降水量約1,700ミリ、冬も暖かく雪の積もる日は1年に1度あるかないか。みかん栽培には非常に適した気候です。近年の変化としては、温暖化の影響なのか、冬が若干暖かくなってきたのと、夏の猛暑日が多くなってきたことでしょうか。それと雨が降るときは降るけれど、降らない時は降らない日が続くような傾向です。みかんの栽培(生産量・品質)にも微妙に影響しますので、生産者は毎日天気予報とにらめっこです。

近年の地球温暖化の影響で、僅かではありますが平均気温が上がり気味です。それにより熟期がやや早まってきています。また収穫期に気温が高いと、減酸が早まったり、浮皮現象(果肉が肥大しないのに皮だけが成長して果肉と皮の間に隙間ができる)が起きたり、日持ちが悪くなる場合があります。

産地では、そのような微妙な気象変動に対しても、日々研究を重ね、少しでも高品質なみかんが作れるよう努力を重ねています。

夏に雨が少ない

特にみかんの甘さが決まる夏(7月下旬から8月)に雨が降りにくいのが、有田の特徴です。南北東が山に囲まれ雨雲が山にさえぎられるのか、紀伊半島の東側に比べると非常に降雨量が少ない地域です。隣町で雨が降っても有田だけ降らない日が多くあります。暑い夏にこれほど雨が少なければ、他の作物なら枯れてしまいます。その点みかんは乾燥に強い植物です。

このような環境がみかんの栽培に適しているのだと考えられます。そして約500年も前に、そのことを解った上でみかんの栽培を始めた先人を尊敬し感謝しております。

台風(雨や風)に強い

みかんは他の果物と比べて、強風でも落ちません。木が倒れても枝が折れても果実は落ちません。しかし西日本には台風はほぼ毎年訪れます。でも有田は南北東が山に囲まれているので、台風の風(時計と逆回り)は風当たりが比較的弱いのです。

みかんに適した土壌条件

有田川を挟んで(一部を除き)古生層と中生層に分かれ、鉄分など微量要素も多く含まれて、いずれも排水性に優れています。みかんは古生層では紅が濃くなり、中生層では色付きが早いと言われています。よって色付きが早いことが求められる早生みかん、紅が濃いことが有利な普通みかんとを、概ね土質によって栽培を分けています。

有田地域は山が多く、みかん園の70%以上が傾斜地で、急傾斜園も多い産地です。降った雨は有田川を通って紀伊水道に流れ、排水性(水はけ)が良い条件です。

石垣階段畑で高品質に

傾斜園では石垣を積んで階段状にしています。傾斜が緩いと段幅が広く、傾斜が強いと段が高くなります。ほとんどが開墾時にその土地にあった石を使っています。石垣を積むことにより、植栽面(作業面)を平らにして安全を確保し作業効率を良くすることのほか、石垣は日光を反射させたり、太陽熱を保温したり、排水性をさらに良くして、雨水による崩壊を防ぐ効果もあります。

みかん専門農家が多い

日本の農家は一般的に(歴史的にも)米作りから始まり、地域に合った作物を選定して特産物が生まれたと考えられます。有田地域は平地が少なく、傾斜の畑に作物を育てるため、栽培に必要な水の確保が困難でした。しかも雨が少ないことからも、そのような条件で栽培が持続できるものとして、みかん栽培が始まったと考えられます。水田もありますが、平地などではみかん以外の柑橘類や、キウイ・スモモ・ビワ・ウメなどの果樹、シシトウ・ミニトマト・ニンニクなどの野菜類、スプレーギク・スイートピー・スモークツリーなどの花類、山間地ではサンショウなどが栽培されていますが、それでも園地の約9割が柑橘類で、その9割が温州みかんです。で、結局大半がみかんの専門農家なのです。昔から、みかんの売れ行きによってこの町の景気が左右されると言われています。

おいしい時期に集中出荷

みかんで最初に収穫する種類を極早生と呼びます。有田では10月に入り収穫・出荷が始まります。この時期はまだ気温が高い時期なので、味(糖度)というよりも酸っぱさ(酸度)が早く下がる品種や、見た目の色は早く良くなるものが出回っています。けれども有田では味重視の品種を栽培しようと努力しています。見た目は緑が残っていても中身の確かなもの(味が濃い、内袋が薄いなど)として、「ゆら早生」などの品種が極早生の中心です。

11月になって収穫するのが早生みかんです。同様に味重視で「田口早生」や「宮川早生」という品種が主流です。早生の収穫が終われば中生(なかて)や晩生(おくて)と続きます。だいたい12月末まで収穫が続きます。有田みかんは一部を除いてほぼ年内で終了します。

歴史と伝統がある

この地でみかんの栽培が始まってから、450年ほど経ちました。紀伊国屋文左衛門が嵐の中、船でみかんを江戸に運んだ話は有名です。

京阪神に近いこともあり、当初は個人で販売していましたが、やがて地域の人たちが共同で選果するために施設(共同選果場)を作ったり、個人で選別・箱詰めして出荷する組合や、今でも個人で販売している農家など様々。最近はJAありだが運営する直営選果場(AQ選果場)への出荷者も増えてきました。有田地域で生産されたみかんを、古くから「有田みかん」として全国の皆様に親しまれています。2006年には、地域団体商標の第一弾として「有田みかん」 が認定されました。

日本一の生産量

有田みかんの生産量は、全国生産量の約1割を占めています。10個に1個は有田みかんです。ピーク時には12万トンを超えていましたが、現在は8万トン前後に減っています。市街地では宅地化が進み、山間部では高齢化の波で園地が減少しています。それでも全国のみかんの減少ペースに比べれば、有田は緩やかです。まだまだ全国一のみかん産地であり続けます。

9万トンの有田みかんは、Mサイズ(約100g)とすると8億個になります。Mサイズのみかんは直径(平均)64ミリですので、横に並べたら51,200kmになります。地球一周(約4万km)をはるかに超えるのです。10万トンの時は地球一周半(64,000km)と言っていました。

その有田みかんは、10月から12月の約80日で出荷しますので、期間中毎日1,000トン(10トントラックで100台)が全国へ旅立ちます。

出荷方法

みかんは通常、秀・優・良などの等級、L・M・Sなどの階級に分けて、10kg箱で出荷します。

みかん生産農家が、収穫したみかんを持ち寄り共同で荷造りして市場へ出荷したり(共同選果場)、個々の農家で箱詰めしたものを持ちより、共同で販売したり、また個人で市場へ送ったり、 或いはみかん販売業者に託したりと、みかんの出荷方法はさまざまです。

JAありだ管内には、農協直営選果場や地域で運営する共同選果場がいたるところにあるのです。

JAありだ管内のみかん選果場

AQ中央選果場 〒643-0022 有田郡有田川町奥267番地1他
TEL:0737-53-1900/FAX:0737-53-1901
AQ総合選果場 〒643-0143 有田郡有田川町中野5
TEL:0737-32-4883/FAX:0737-32-3410
AQマル南選果場 〒643-0066 有田郡広川町名島67-1
TEL:0737-62-4651/FAX:0737-62-4706
宮原共選 〒649-0435 有田市宮原町滝川原538
TEL:0737-88-7021/FAX:0737-88-7819
(株)早和果樹園 〒649-0432 有田市宮原町東349-2
TEL:0737-88-7279/FAX:0737-88-7279
マル賢共選 〒643-0843 有田郡有田川町賢56
TEL:0737-52-3259/FAX:0737-52-7484
マル有共選 〒643-0813 有田郡有田川町西丹生図454-1
TEL:0737-52-3518/FAX:0737-52-6370
マル御共選 〒643-0111 有田郡有田川町庄378
TEL:0737-52-3531/FAX:0737-52-7507
ヒシトリ第五共選 〒643-0144 有田郡有田川町市場139番地4
TEL:0737-32-3092/FAX:0737-32-3192
ヤマ東共選 〒643-0143 有田郡有田川町大薗17
TEL:0737-34-2017/FAX:0737-34-2315
ありだ共選 〒649-0313 有田市千田194番地
TEL:0737-83-2288/FAX:0737-83-0379
JAありだ共選協議会
(事務局:和歌山県農業協同組合連合会)
〒640-8331 和歌山市美園町五丁目1番地の1 和歌山県JAビル9階
TEL:073-488-5581

みかんの栽培履歴(安全管理)について

柑橘類防除基準

JAありだは、みかんの病害虫防除(農薬使用)については、毎年防除基準を作成し、全農家に配布しております。みかん生産者は、その基準を守って防除を行います。

栽培履歴書

みかんの出荷直前には、各農家が園地ごとに生産資材(施肥・防除)使用履歴書を選果場へ提出します。万が一、基準を逸脱した使用が判明した場合は、そのみかんは集荷しません。

農薬自主残留分析

集荷した農産物の中から、抜打ちでサンプリングして、和歌山県農協連植物バイオセンターで農薬残留分析を行っています。万が一、残留基準値を超えたものが見つかれば、直ちに出荷停止や回収措置を行います。